
VDSLは下り最大100Mbpsで現在(2025年10月)の標準である光回線1Gbpsと比べて10倍遅い回線となります。
多くの集合住宅では光配線による光ファイバーの引き込み工事ができないため、やむを得ずVDSL配線による光回線のプランを契約している場合が多いです。
そんなVDSL方式について
VDSL方式とは?
VDSL方式とは、「Very high-speed Digital Subscriber Line」の略で、光回線の配線方式のことです。
しかし、一般的にイメージされる「光回線」とは、建物内での配線方法に大きな違いがあります。
VDSL方式とFTTH(光配線方式)の違い
インターネット回線が自宅に届くまでには、最寄りの電柱から建物内の共用スペースを経由し、そこから各部屋へと配線されます。
この「共用スペースから各部屋まで」の配線方法の違いが、通信速度を大きく左右します。
| 比較項目 | VDSL方式 | FTTH(光配線方式) |
|---|---|---|
| 利用する線 | 電話回線(メタルケーブル) | 光ファイバーケーブル |
| 最大通信速度 | 100Mbps | 1Gbps~10Gbps |
| 外部からの影響 | ノイズや干渉を受けやすい | 受けにくい |
| 導入されている建物 | 比較的築年数の古い集合住宅 | 新しい集合住宅、戸建て |
| 見分け方 | 壁にモジュラージャック(電話線差込口)がある | 壁に「光」や「光コンセントSC」と書かれた差込口がある |
解説
上の表が示すように、最も大きな違いは共用スペースから各部屋までをつなぐケーブルの種類です。
FTTH方式は、電柱から部屋の中まで、すべて光ファイバーケーブルで接続されます。光ファイバーは高速通信に特化したケーブルなので、データの劣化がほとんどなく、安定した高速通信が可能です。
光ファイバーによる配線のFTTH方式

一方、VDSL方式は、電柱から建物の共用スペースまでは光ファイバーで接続されていますが、そこから各部屋までは既存の電話回線を利用して接続します。
電話線による配線のVDSL方式

電話回線はもともと音声通話のために作られたメタル(銅)ケーブルであり、高速データ通信には向いていません。この部分がボトルネックとなり、最大速度が100Mbpsに制限されてしまうのです。
VDSLが遅くなる3つの主な原因
「最大100Mbpsなら、そこそこの速度は出るはずでは?」と思うかもしれません。しかし、VDSL方式では、この理論上の最大速度が出ないケースがほとんどです。その原因は主に3つあります。
1. 他の部屋の利用状況による速度低下
VDSLは、1本の光ファイバーケーブルを複数の住戸で分け合う「共有型」のサービスです。そのため、同じ建物内で同時にインターネットを利用する人が増える時間帯(特に夜間や休日)は、回線が混雑し、通信速度が著しく低下してしまいます。
2. 外部からのノイズ(干渉)
電話回線に使われているメタルケーブルは、電子レンジや他の電化製品が発する電磁波など、外部からのノイズ(干渉)の影響を受けやすいという弱点があります。このノイズが通信データを破損させ、速度低下を引き起こす原因となります。
3. 物理的な距離と配線の劣化
VDSL方式は、共用スペースにある集合装置から各部屋までの電話回線の距離が長くなればなるほど、信号が弱まり速度が低下します。また、建物の築年数が古い場合、電話回線そのものが劣化しており、本来の性能を発揮できないことも少なくありません。
これらの要因が複合的に絡み合うことで、VDSL方式の実測値は数Mbps~数十Mbpsに留まってしまうことが多いのが実情です。
VDSLが遅い場合の速度改善対策
「じゃあ、もう打つ手はないの?」とがっかりする前に、いくつかご自身で試せる改善策があります。ただし、これらはあくまで対症療法であり、VDSL方式の構造的な問題を解決するものではないことをご理解ください。
改善策1:接続機器を見直す
意外と見落としがちなのが、ルーターやLANケーブルなどの周辺機器です。
| 機器 | チェックポイント | アドバイス |
|---|---|---|
| Wi-Fiルーター | 5年以上同じものを使っているか? | ルーターの内部プログラムやハードウェアは経年劣化します。最新の通信規格(Wi-Fi 6など)に対応した機種に買い替えるだけで、宅内の通信速度が改善される可能性があります。 |
| LANケーブル | 「CAT5」という規格ではないか? | LANケーブルには通信速度に応じた規格があります。「CAT5e」以上の規格のケーブルを使用しましょう。ケーブルに印字されているので確認してみてください。 |
| VDSLモデム | 熱がこもっていないか? | モデムは熱に弱い精密機器です。長時間稼働していると熱暴走を起こし、パフォーマンスが低下することがあります。定期的に再起動したり、風通しの良い場所に設置したりしましょう。 |
改善策2:「IPv6 IPoE」に対応する
少し専門的な話になりますが、プロバイダが「IPv6 IPoE」という新しい接続方式に対応している場合、それに切り替えることで速度が改善する可能性があります。基本的にどこのプロバイダーでもIPv6は対応しています。
※IPv6対応は別料金のオプションとなるところもあります。(ソフトバンク光のように専用ルーターを契約させるなど)
従来の「PPPoE」という接続方式は、利用者が集中する時間帯に混雑しやすい特定のネットワーク機器を経由する必要がありました。一方、「IPoE」方式ではその混雑ポイントを避けたルートで通信できるため、同じVDSL回線でも速度が向上する場合があります。
お使いのプロバイダが対応しているか確認し、対応している場合はプラン変更や対応ルーターの導入を検討してみましょう。
【重要】これらの方法はあくまで「宅内環境の最適化」です。
VDSL方式という大元のボトルネックが解消されるわけではないため、改善効果は限定的です。劇的な速度アップは期待できず、根本的な解決には至りません。
VDSLサービス提供は終了します
NTT東日本、NTT東日本西日本では2026年1月31日でVDSLのサービス提供を終了すると発表されています。

VDSLが終了する集合住宅は
FTTH(光配線)による配管が敷設済みの集合住宅です。すでに光配線(FTTH)が利用可能でありながら、遅いVDSL回線を使い続けることができなくなります。FTTH利用可能なマンション集合住宅でVDSL契約をしている方はFTTHを使う回線へ切り替えが必要です
VDSLしか使えない集合住宅は
2000年以前に建設されたマンションや集合住宅では建物自体にFTTH光配線による光ファイバーを引き込む工事ができないことが多いです。多くの古いマンションでは引き続きVDSLでの利用が可能です。
ただ、世間は1Gbpsが標準化されている中で、今後も最大100MbpsのVDSLのままとなります。

VDSLしか使えない集合住宅で1Gbpsを実現する回線
「いろいろ試したけどダメだった…」「やっぱり光コンセントを導入する工事しかないのか…」 そんな方にこそ知っていただきたいのが、J:COM NET1Gコースという選択肢です。
J:COM NETは、NTTの光回線(フレッツ光)やそのコラボ光(ドコモ光、ソフトバンク光など)とは全く異なる、独自の回線網を持つサービスです。

最大の特徴は、電話回線ではなく、テレビ用の「同軸ケーブル」を使って各部屋まで接続する点にあります。
J:COM NET1GコースとVDSLの比較
VDSLとJ:COM NET(同軸ケーブル)では、通信に使うケーブルの性能が全く異なります。
| 比較項目 | VDSL方式 | J:COM NET(同軸ケーブル方式) |
|---|---|---|
| 利用する線 | 電話回線(メタルケーブル) | 同軸ケーブル |
| 最大通信速度 | 100Mbps | 1Gbps (J:COM NET 1Gコース) |
| 外部からの影響 | ノイズの影響を受けやすい | シールドで保護され、ノイズに強い |
| 安定性 | 他の利用者の影響を受けやすい | 比較的安定している |
解説
同軸ケーブルは、中心の銅線の周りが絶縁体や外部導体、保護被覆などで覆われた多重構造になっています。この構造が外部からのノイズを防ぐシールドの役割を果たし、安定した高速データ通信を可能にします。
VDSL方式が細く不安定な道でデータを運んでいるとすれば、J:COM NETの同軸ケーブルはノイズ対策が施された専用ハイウェイでデータを運んでいるようなものです。
そのため、VDSL方式の建物であっても、J:COMの設備が導入済みであれば、簡単な宅内工事のみで最大1Gbpsの高速回線に切り替えられる可能性があるのです。
こちら申込みボタンからマンション対応チェックできます
J:COM NET 1Gコース対応マンションチェック→ 公式サイト
マンションが対応してたらかなりラッキーです。
J:COM NET 1Gコースのメリット
- VDSL環境でも1Gbpsの高速通信が可能に:オンラインゲーム、高画質動画の視聴、大容量ファイルのダウンロードもストレスフリーになります。
- 工事不要、または簡単な工事で導入可能:すでに建物にJ:COMの設備があれば、大掛かりな工事は不要です。壁にあるテレビ端子に専用モデムを接続するだけで利用開始できます。
- サポート体制の充実:設定やトラブルの際に、専門スタッフによる訪問サポート(一部有料)を受けられるなど、サポートが手厚い点も魅力です。
- テレビや電気、ガスとのセットでお得に:ケーブルテレビの会社ならではの豊富なセットプランがあり、通信費全体を節約できる可能性があります。
注意点・デメリット
- 提供エリアが限られる:J:COMは全国展開していますが、この1Gコースというプランはお住まいの地域や建物が提供エリア外である可能性もあります。まずは公式サイトでエリア検索をする必要があります。
- 建物の設備状況による:お住まいの建物にJ:COMの設備が導入されていない場合、利用できない、または導入に時間がかかるケースがあります。
ホームルーターとの比較
「工事ができないなら、コンセントに挿すだけのホームルーターは?」と考える方もいるでしょう。ホームルーターも手軽な選択肢ですが、通信の安定性や速度には注意が必要です。
比較表
| 比較項目 | J:COM NET 1Gコース | ホームルーター(5G対応) |
|---|---|---|
| 回線種別 | 固定回線(同軸ケーブル) | モバイル回線(携帯電話の電波) |
| 通信の安定性 | ◎ 非常に安定 | △ 場所や時間帯、天候に左右される |
| 通信速度 | ◎ 最大1Gbps | 〇~△ 理論値は速いが実測値は不安定 |
| データ容量 | ◎ 無制限 | 〇 実質無制限だが、短期間の使いすぎで制限の可能性あり |
| 設置の手軽さ | 〇 簡単な工事または機器接続 | ◎ コンセントに挿すだけ |
解説
ホームルーターは手軽ですが、携帯電話の電波を利用するため、物理的な障害物(壁など)や周辺の電波状況、基地局からの距離によって通信が不安定になりやすいというデメリットがあります。オンラインゲームやリアルタイムのビデオ会議など、通信の安定性が求められる用途には、有線で接続するJ:COM NETのような固定回線に軍配が上がります。

まとめ:高速化に向けて
集合住宅のインターネットが遅い原因である「VDSL方式」の仕組みと、その根本的な解決策として「J:COM NET1Gコース」をご紹介しました。
- VDSL方式は電話回線を使うため、速度が100Mbpsに制限され、遅延や干渉も受けやすい。
- ルーター交換などの対策は効果が限定的。
- J:COM NETは独自の同軸ケーブルを使い、VDSLの建物でも最大1Gbpsの高速通信を実現できる可能性がある。
- 安定性を求めるなら、ホームルーターよりJ:COM NETのような固定回線がおすすめ。
「うちのマンションはVDSLだから高速化は無理…」と諦める必要はありません。
あなたのインターネット環境が劇的に改善される可能性があります。
関西、関東の対応エリアのみとなりますが、お住まいのエリアがJ:COM NETの提供エリアかどうか、公式サイトからチェックしてみてはいかがでしょうか。
快適なインターネットライフへの第一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

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